世界

FVIとの協力関係の中で、海外パートナー団体が行っているプロジェクトをご紹介します。

002 南アジア インド・北部

抑圧された人々、ダリットたちの尊厳回復プログラム 南アジア インド 北部 最貧構想としてあえいでいるダリットの人々。自信と尊厳を失っている彼らと関わり。全ての人を等しく大切にするという愛の世界観によって次世代の人々を育成するラムスラットさんたちの働きを紹介します。

2013年9月 活動報告

カースト精神の変革 -村の2家族から始める-

カースト差別を人々の暮らしの中から撤廃していくために、差別を受けてきた人々の間でお互いに教えあい、気づきあい、励ましあうための会合が継続されている。

 B村で、カーストを越えて食事を共にしながら「カースト精神変革」会合に参加したバンシューさんは、まず村の2家族の人たちが変わるように働きかけることにした、と語ってくれた。村全体は簡単には変わらないけれど、まず、2家族への継続的働きかけから始めてみる。そのような決意が大きな変化へとつながっていくのだろう。

 最近、異なるカーストの人々が食事を共にしているのをみた一人の人が「なぜ、こんなことができるのか?」と質問をしたそうだ。そして、人間にはどのように尊厳が与えられたかを理解してそれを実践するようになるのが、自らを犠牲とする神であるイエスを受け入れた人々であることに、あらためて目が開かれたという。人間は、人に自分の尊厳を認めてもらいたいけれども、人の尊厳を理解し、相手を尊重して行動し続けることはとても難しい。尊厳をもって一人ひとりを造って下さった方と出会って初めて、階層にはよらないで、各人の尊厳を認めた行動することができるようになるという理解が北インドで静かに広がっている。


カーストを越えて料理を一緒にする女性たち

課題を乗り越える

今、継続してこの会合が行われている村々では、二つのパターンが生じている。ある人々、家族は、大胆に異なるカースト間の食事、交わり、連絡をとり、カースト間の障壁を乗り越え始めている。これらの家族は、親戚にもこの行動変革を伝えようと決め、それを実行し始めている。また、子ども達世代がこの行動変革の意味を理解し、実践できるように食事や研修会に子どもたちも同伴するようになっている。

その一方で、下層カーストと食事を共にすることで、自分が家族や親戚、地域社会から疎外されるのではないかと恐れて、立ち止まっている人々も顕在化している。人間は多くの場合、長期的によりよい社会を目指すための新たな行動を選択する代わりに、目先の現状維持にすがりつきたいものだ。底辺の階層内であっても今までの関係が拒絶されることへの恐れは根深い。この「人への恐れ」を乗り越えていけるかどうかが、地域の未来を決めていくのだろう。  

大切な時期を通っている「抑圧されてきた人々」のために、祈りの声援をお願いしたいという依頼がきている。

 私たち日本社会に住む者にとっても、教えられることがたくさんあるプロセスだ。遠く離れても、祈りによって、彼らの活動に協力することで共に歩む者でありたい。