世界

FVIとの協力関係の中で、海外パートナー団体が行っているプロジェクトをご紹介します。

006 南アジア バングラデシュ

抑圧された人々、ダリットたちの尊厳回復プログラム 南アジア インド 北部 最貧構想としてあえいでいるダリットの人々。自信と尊厳を失っている彼らと関わり。全ての人を等しく大切にするという愛の世界観によって次世代の人々を育成するラムスラットさんたちの働きを紹介します。

女性の尊厳が回復されるために、立ち上がる女性たち

南・西南アジアでノーベル平和賞を受賞した女性たち

2014年のノーベル平和賞受賞者二人のうち、史上最年少で受賞したパキスタン人女性のマララ・ユスフザイさん。女性が教育を受けることを禁じたタリバンに従わなかったために2012年、15歳で報復として頭部を銃撃され、奇跡的に回復した女性です。彼女は受賞のスピーチでテロに関わる人々について次のように語りました。

テロリストは、本とペンの持つ力を恐れています。教育の持つ力を彼らはとても恐れているのです。そして彼らは女性も恐れています。女性の意見が、力が表立つことを恐れているのです。こうして彼らは、クウェッタ(パキスタンの都市)で14人の無実の女性医学生を殺害しました。カイバル・パクトゥンクワ州で多くの女性教師を、そしてポリオ治療のために働く女性たちを殺害しました。彼らが毎日学校を襲撃するのも彼らの「恐れ」からなのです。

テロリストは変化を恐れています。彼らは私たちがもたらそうとしている「平等」も恐れています。

2018年にノーベル平和賞を受賞した二人のうちの女性ナディア・ムラドさんは、イラクの少数派ヤジディ教徒で、過激派「イスラム国」(IS)に拷問、強姦された後、脱出し、ISに捕らわれたヤジディ教徒解放に奔走する活動家です。声をあげる勇気を奮い起こし、民族を壊滅させるための戦争やテロの武器として女性の性奴隷化が行われていることを自らの体験で明るみに出すことで、糾弾し、国際社会による法的処罰を求めているのです。

このようにここ数年、世界の多くの地域で女性の基本的人権が踏みにじられてきたことに、犠牲となった当事者、「声なき者」だった女性たち自身が、声をあげ活動を始めています。その勇気を後押しするためにノーベル平和賞が授与されているのでしょう。

女性の尊厳回復のために:バングラデシュの場合

「声なき者の友」の輪では、2014年から「新しい生き方」を歩み始めた人々が社会で真実を見分け、隣人愛を実践することを奨励するバングラデシュの研修機関とパートナーになり、協力をしています。5年目の2018年には、この研修所で学ぶ女性マリアさんを応援しました。ノーベル賞という脚光を浴びることはないかもしれませんが、社会で女性たちの尊厳が蔑ろにされていることに心を痛め、自分も何かをしなければならないと感じていた農村地域の草の根の女性の一人でした。地元の女性だからこそ、草の根で関わることができ、その地域で女性たちの尊厳を回復する活動が進められるのです。

彼女は、読み書きを学ぶ機会がなかった女性たちに、ボランティアで読み書きを教える教室を始めていました。今回の研修を通して、その人々の尊厳回復にさらに役立つ知識やコミュニケーションの姿勢を学べたと語ります。特に、家の中で大切な育児に関わる女性たちに、子どもを育てる意味と目指すべき関わり方、そして自分自身の心の成長を伝えられるようになったのだそうです。

この研修によって、男性優位の社会で女性の尊厳が回復されるためには、女性たちが様々な知識を身につける機会をもっと増やしてほしいと、強く思うようになったそうです。研修を終えて、女性たちが自分の人格と歩みに自信を持ち、名誉や自分の利益のためではなく、子どもたちの真実の成長のため、他の人々のために生きることができるのだと励まし、導くことが最も大切だと考えています。

究極的には、女性と男性が協力し合って、弱い立場の人々のことを思いやって行動する社会を建て上げていきたい、という願いを与えられたそうです。二年の研修を振り返ると、自分が教えられた知識や受けた励ましを多くの女性たちにも受けとって欲しいと思うそうです。このように成長する機会を応援してもらえたことを心から感謝します、と感謝が伝えられました。

 マララさんが指摘したように、女性が教育を受け、社会で意見を表明することを恐れてテロや戦争を引き起こす人々に対して、女性たち自身が知識を得、目覚めた男性たちと共に女性の尊厳が守られる社会を建て上げていく。そのような女性たちのためにも、現地の人々が研修の機会を創り出している場に、「声なき者の友」の輪として皆さまの応援で協力できることを心から感謝いたします。


これからのバングラデシュ社会と共に

5年後の2024年に、バングラデシュは「後発発展途上国」の立場を「卒業」すると予測されています。中間層が多数派になり、中所得国に位置づけられるのです。世界も社会も大転換する現代、バングラデシュにも新しい形態の格差、そして新しい弱者が生み出されるかもしれません。そのような事態を、できる限り防ぐように「声なき者の友」の輪が国外のパートナーとして別の視点から共に歩み、複眼的に共に学ぶ大切さを思わされます。

間もなく独立50年を迎えるバングラデシュ。その政治や社会の歴史、彼らが守り慈しんできた母語のベンガル語が生み出したベンガル文化の豊かさ、90%近くの人たちが生活の一部として営むイスラム慣習。これら全体を社会のなかで統合的にみながら、これからの社会の方向性を見究める必要がある。このことに気づき、心を向ける理念を共有した仲間がいます。

最貧困国から中所得国へと変貌していくバングラデシュ社会と共に、21世紀の社会変容の中で、これまでの弱者がさらに置き去りにされることがないように、また、新たな弱者を生み出す社会のあり方に敏感に応答する「新しい生き方」を歩む人々が、大切な真実を学び実践し続けることができるように、「声なき者の友」の輪として協力することを願っています。

ご協力の思いが与えられた方々へ

社会の転換期を迎えるバングラデシュで、次世代育成、そして女性の成長にも携わる現地パートナーへの財政面の応援をよろしくお願いいたします。「バングラデシュ協力」と明記の上、下記へご送金ください。ウェブでは公開できない詳細をご案内しますので、下記メールアドレスの「声なき者の友」の輪までご連絡ください。

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このプログラムにご賛同のかたは、郵便振替で通信欄に、「バングラデシュ」と指定し、下記の口座に送金ください。
※郵便振替通信欄にメールアドレスをご記入いただきますと、以降、メールでご報告をいたします。

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