アーカイブ

アーカイブでは、現在は終了している過去のプロジェクトをご覧いただけます。

001 南アジア インド・オリッサ州

人と社会のトータルな変革プログラム 経済躍進のインド。最貧国郡で人が生かされるために奮闘するナヤクさんたちの働きをご紹介します。

2015年上半期の活動報告「山間の村で」

~村の人々とインドの人々の協力に向けて~
1.幼児・低学年のための学習支援へ

2015年6月現在、学習支援教室では村の子ども8人が学びを続けています。基礎学力を身につけた多くの上級生たちは、遠くの公立小学校の編入試験に合格し、そちらに移っていきました。今年は、遠い小学校に通いきれない低学年の子どもたちと学校に慣れるように親が希望する幼児たち中心になりました。

遠くまで歩く体力がないため低学年では小学校に通えず、基礎学力を身につけられないまま大きくなった子どもたちに基礎学力を身につけてもらいたいという目的で始まった学習支援教室の役割も、4年の間に転換期を迎えるようになりました。

2.成長した中高生 ~教えられる側から教える側に~ そして新たなチャレンジ

学習支援教室開始から4年が経ち、公立の学校に入って中学生になった子たちも出てきました。今年の最大の喜びは、成長したお兄さん、お姉さんたちが、学校がないときなど時間があれば、幼い子達の教室を手伝ってくれるようになったことです。楽しいゲームを指導し、幼い子たちが言葉や計算を学ぶのを手伝ってくれています。

 進んで、関わるように、ここまで成長しました。大人は少しだけ手伝えばよいのです。自分が学んだことを小さな子たちに伝える。習得したものを生かして、教えを受けるだけの立場から、学びを手伝い、教える立場に成長しています。そのような機会も意識的に作られています。機会さえ与えられれば、10代前半の子どもたちでも小さな子を教えようと努力し、村をよくするためのアイディアを出すことに積極的になるのです。

 このような喜びがある一方、インド社会が激変していることをあらためて思わされる出来事もありました。
一年数か月前、学習支援教室担当教師が、村出身で始めて高校を卒業した若者アナント君に代わりました。ところが、今年3月に突然、アナント君は辞職したのです。大都市ムンバイで自分の力をもっと発揮したいと、村を出る決断をしたためです。現在、高校を卒業したばかりのマハンティ君が研修を受けながら、子どもたちの勉強を見始めました。

 学習支援教室担当の新米マハンティ君、そして彼に指導や助言をし、村全体の向上のために村のいくつかの委員会をサポートする同じく村出身の若手のジョゲッショワルさん。雨期に外界から村を遮断してきた川に橋を架ける工事に備えて、村の中央を通る道路作りで村全体がさらに結束するように、彼らの存在が鍵となるでしょう。彼らが誠実に、主体的に村のために貢献するリーダーの模範となれば、村が自立してより良くなる道筋までほんのわずかです。

 村が本当に変革されるのは、村で育てられた若者たちが、より良い村づくりに貢献するようになることです。生まれ育った村を愛してやまない若者たちが、今度は村の次世代の子どもたちの育成に携わる。そのような機会づくりに参加してくださった日本の皆さまに心から感謝いたします。

 オディッシャ州の山間で、この村に心を注いで祈り続けてきたエベネゼル・チームのナヤク女史と協力し、「声なき者の友の輪」が「人と社会のトータルな変革」のプログラムに協力を始めて5年目。

ナヤクさんは今、自分が暮らす町のグループの中から山の村を訪問し、助言し共に祈りあう人々を起こそうと声かけをしています。子どもたちと家族の包括的な成長のために、町と山の村の架け橋作りをしているのです。経済成長の機会が増えたオディッシャ州の町の人々が、山あいで苦闘する人々と共に歩むようにナヤクさんは道を開いています。
地域で目を開かれた人が、「国内の格差への取組み」のために町の人々を巻き込み始めているのです。

 海外の日本と町のナヤクさんが協力して始まった、オディッシャ州の山あいのとても貧しい村への取り組みが、インドで広がり始めた格差に目を開かれた人々の手に引き継がれようとしています。今までの種まきが実る日が間近であることを感じます。皆さまのご協力とお祈りを、最後までどうぞよろしくお願いいたします。